常に物事を考え続ける力と、教育より学習に焦点をあてること

昨日、本の内容を語りきれなかったので続きです。 

本来は、内容全てが金脈なのですが、その中でもこれから大切だと思うものを2つ挙げたいと思います。
(なかなか、選びきれませんでしたが…。生徒さん達にとって大事だと思うものに絞らせてもらいました。) 

先ず、一つ目は『常に物事を考え続ける力』です。
思考パターンとしては大きく分けて二つあるそうです。
1つ目が「演繹法」もう一つが「帰納法」(高校2年生は嫌いな部類に入る数学的帰納法を思い出すかも…。)です。

現在の日本の教育では、「演繹法」が、主流だそうです。
問いに対する答えが分かっていたので、ひたすら、公式をたくさん覚えて、解答をどん出していけばよかったので。
その為、「帰納法」の訓練が足りていません。
かといって「帰納法」的考えをすればいいかと言えば、変化の激しい時代に膨大な情報収集をしていたら変化の時代に間に合わないことになるそうです。 

著者が勧めるのは「演繹法」と「帰納法」の中間の考え方です。
それが「abduction(アブダクション)」です。
少数のデータから「帰納法」で特徴の仮説を出し、その仮説に基づいて小さな「演繹法」で他の異なるグループに転用することで、仮説を検証する。
そうして、変化の時代に合った高速なループを回すことが大事だと述べています。

では、身近にできる簡単な「帰納法」の訓練は、メモをとることだそうです。
このことを、分かりやすく紹介した書籍が、ベストセラーになった前田裕二著『メモの魔力』です。(巻末に、尾原さんと前田さんの対談が載ってます。それだけでも読む価値あり!)

二つ目に、『教育より学習に焦点をあてること』です。
これからの社会で求められているのは、自ら課題を探し出し、設定し、解決するための方法を自らつくっていく「学習」だそうです。
(「教育」と「学習」については、昔から随分意見が出されていますので気になる方は調べてみて下さい。)

予測不可能な時代では、今まで学んできたことさえ一夜で使えなくなってします事態も起きてくる可能性があります。
そのため、過去の成功方程式を意識的に捨てる『アンラーニング』が重要になってくるそうです。

まず、生徒さん達がしたらよい事は、数学・物理・科学の歴史を勉強してみることです。
17世紀、ニュートンが発見した「ニュートン力学」はその当時では、絶対的真理でした。
しかし、20世紀になってアインシュタインが「相対性理論」を発見したことで、人工衛星など物体が超高速で移動するときには「ニュートン力学」では説明できず、「相対性理論」でしか予測できない世界があることが立証されました。

今現在は、アインシュタインが見えなかった世界を数多くの科学者たちが研究しています。
しかし、高校生までは教育を真摯に受け、基礎学力をつけていくことが大事だと思います。
数学など社会に出たら何の役にも立たないと言っている生徒さん達は、今住んでいる家が、複雑な構造計算の上に成り立ち、スマホで「You Tube」を見ることも、数学・物理・化学の上に成り立っていることを考えてみる必要があります。

先人のたゆまない努力に思いを馳せてこそこれからの人生の糧になると固く信じています。

黒木 昭徳

黒木数理塾 塾長・講師

そろばんの街である我が妻の故郷、小野市の数学離れをなんとかしたいと考え、2018年4月に理数専門の学習塾を開業。大学の数学まで指導する事ができ、高校においても合格が難しい生徒達を何人も合格させてきた実績あり。これまでの30年の指導経験上、数学の成績が上がると他の教科も上がることが多く、数理に特化した学力の向上を目指している。

Profile Picture